2016-04-25

犬と猫の大腿骨の骨折例

大腿骨(だいたいこつ)とは、太ももにある骨のことです。
大腿骨骨折の症例が重なったため、飼主様への注意喚起とともに当院治療例を紹介します。
この部位の骨は、ギブスで治すことができないため、外科手術による治療が必要になります。

また、骨折の治療は、手術⇒完治というわけではなく、手術自体は骨が正常に治る為のキッカケを与えるにすぎません。順調な経過の場合でも、骨が治癒するには数ヶ月(2~3ヶ月)の時間を要します。

交通事故はやむえませんが、自宅の管理によっては予防できる骨折もありますので、生活環境を見つめ直していただければ幸いです。

①犬 プードル 7歳
・高い所からジャンプして、右後肢をビッコ(非負重性跛行)。
・骨折部位は、やや遠位の整復可能な骨折に分類されます。
・手術自体は難しくなく、プレートとスクリューで固定しています。
・今回のプレートの種類では、骨折線(骨折部位)を中心に最低3本ずつのスクリューを入れることが望ましい為、計7本のスクリューと体重に応じたプレートを用いています。

②保護猫 約1歳
・交通事故による、左後肢の粉砕骨折(骨盤骨折も併発しています)。
・骨折部位は、やや近位の整復不可能(小さい骨がバラバラになっています)な骨折に分類されます
・手術がやや難しくなり、ある程度の大きな骨を可能な限りとめ(ラグスクリュー)長めのプレートで正常な骨どおしを固定しています。
・このような場合は、いかんせんスクリューの本数が多くなってしまいます。
・手術方法は他の選択肢もありますが、動物の性格と術後管理を考慮しました。

今回の例では①犬の症例で2ヶ月後、②猫の症例で1ヶ月後のため、まだ完治したわけではありませんが、インプラント(プレートやスクリュー)の破損や骨のズレ、スクリューの緩み等がみられない為、順調に回復すると思われます。